人も、動物も、同じ生き物 その1

物のことば、人のこころ
言葉を超えてつながるいのち
ベトナム編 熊胆(ゆうたん)生産の現場
檻の扉を一つ一つ開けていく

熊の胆は、今でも簡単に手に入る。時代は変わり、
植物系の漢方薬や西洋薬で
より効能のある薬が開発されているにも関わらず、
日本では「Amazon」でも買える。


どこで生産しているのか?1992年にワシントン条約で国際取引が
規制された頃から、
中国やベトナムでは、熊は生け捕りにされている。そして身動きさえ取れないような小さな檻に生涯閉じ込められたまま、おなかに太いカテーテルを刺されて胆(のう)から胆汁(たんじゅう)を採取されるようになった。殺せないなら生かしながら、という抜け道だ。
獣医でもない素人が、他の臓器や皮膚を傷つけずに胆汁を速やかに
採取できるわけがない。
熊たちは激痛にあえぎ、次の「手術」の恐怖におびえながら、
その場で排泄し、生かし続けるために与えられるわずかな米の残飯を
食べる。それだけの一日が、寿命が尽きるまで何十年もの間繰り返される

ベトナムには何軒もの熊胆ファームがある。豪邸の庭の奥の倉庫のような
建物の鉄の扉を開けると、薄暗い空間に6つの檻があり、それぞれに場違い
なほどに大きなツキノワグマがいた。小さな檻の鉄格子の床に、体重で
体が食い込み、その下には糞尿がそのままで、動物独特の匂いと混じり
異臭が漂う。熊たちはじっと動かないか、上半身を左右に振り続けている。
ぼんやりとした目に光はない。
そこは静かで、足がすくむほどの哀しみに満ちていた。

まだまだ動物や弱者に対する意識の低い東南アジアにおいて、
こうした問題が市民の関心を引くことはまれだ。
しかし、それでもこの現状を変えようと活動をしている人々がいる。
NPOの「アニマルズ・アジア(Animals Asia)」だ。
彼らは熊胆流通の全廃を目指し、行政、関係者や市民を説得して
法の施行や意識改革を促し、廃業する業者から熊を引き取る活動を
地道に続けている。引き取られた熊たちは、治療とリハビリの後に、
広大な自然保護区で獣医や飼育員の手厚いケアのもとに余生を送る。

「この活動を始めた当時の人々の反発は強烈で、行政と業者の完全な
結託もあり、とても無理に思えました。しかしレスキューした熊たちが
緑の保護区で遊ぶ姿を見ることが、やり続ける力になりました」
(アニマルズ・アジア・ベトナム代表)。

彼らは2015年だけで40頭の熊をレスキューし、2020年までにはベトナム
の熊胆業を終わらせると宣言している。
今日、ベトナムでは1200頭以上、中国ではまだ一万頭以上の熊が、
檻から出られる日を待っている。
c0348609_20111081.png


熊のヨギYogi(雄)とココCoco(雌)2015

c0348609_20112948.png



c0348609_20113788.png



写真左上)ヨギYogi(雄)とココCoco(雌)は、小熊の時に森で捕獲された。
ハサミ罠のせいでココは左手が、ヨギは右手がない。
母熊と引き離され、片手を失った二頭はそれから15年もの間、
鉄格子に隔てられた隣同士の檻の中で苦しんだ。
互いの苦しみを見守りながらも触れることは出来ない――。  

2015年、「アニマルズ・アジア」の長年の説得のおかげで、
所有者が引き渡しに応じたの時の二頭は瀕死の状態だった
(商業価値がなくなると手放すことが多い)。懸命の治療で回復した2頭は、
初めて鉄柵を越えて近づいた。

 「その瞬間そこに明らかに愛情があることを感じました。
  彼らは近づいてハグを繰り返したのです」(同団体獣看護師)。

今はヨギとココはいつも一緒で、保護区の146頭の熊たちと共に、
芝生の上を転げまわって遊んで過ごしている。

写真右上)特に雄のヨギは極度に痩せ、胆のうも傷つき、
栄養不足とストレスで鉄柵を噛み続けていた歯はほとんど摩耗。
首を振りながら鉄柵に何度もこすりつけていた頭部は傷だらけだった。


[PR]
by mika-atori | 2015-12-11 20:18

日々のことをおもいつくままに書いています。


by mika-atori
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31